たとえもの

アニメとかラジオとか好きでした。今はふつうです

2011年07月10日の日記

 ドアを開けると朝の匂いがした。まだ少し暗い。自転車の鍵を鎖し、まだ過ごしやすい気温の中走る。近所の交差点は車が一台しかなく、赤信号なのに車が動いていた。そんな光景を尻目に坂を下ると、普段では車が並んでいる道に車がない。まるで人が消えたみたいだ、なんて思えばすぐに車が現れた。長い坂をブレーキもせずに下る。
 普段はそれなりに電車が通る線路も、早朝ではまだ運行していない。線路に電車が止まっていた。坂だらけの道を走っていると目当てのイオンが見えてくる。到着する前に、買い物に来たのだが、何を買うのか考えていなかったことに気付いた。先に松屋で朝食を食べることにする。
 自転車はイオンの駐輪場にとめた。松屋は歩いて一分もしない距離にある。近くのローソンの前に4人組の大学生風がいて、熱心におしゃべりに熱中していた。
 駅前は五時前の時間だというのに活気があった。一目散に松屋へと入ると、突っ伏している男性がいた。飲み屋帰りだろうか、と思いながら食券を買う。この時間だとまだ朝食メニューもやっていない。すでに朝のような光はあるのに、不思議なものだと思った。
 食券を差し出すと疲れた顔をした店員がメニューを復唱する。カウンターのでうろちょろするだけでお冷を出してくれなかった。丼が出来上がると頼んだメニューとは違うメニューを言いながら差し出してきた。言い終わったあとに間違えに気付いて、申し訳程度に言い直していた。みそ汁を渡される時に、ついでにお冷を頼む。全く気付いていなかったそぶりを見せて、コップに水を注いで出してきた。
 食べ終わり、店を出る前に水をもう一杯もらう。お冷を飲みながら寝ている男性を見ると、ぴくりとも動かなかった。
 イオンに入る前にローソンの前を見ると、4人組はまだいた。元気なものだと思ってイオンに入る。先に松屋に行ったは良いものの特に買うものは考えていなかった。野菜コーナーを見ながら、いくら自炊をするようになったと言ってもまた野菜を腐らせるのはごめんだと思って買うのを諦めた。カップ麺コーナーを覗き、家にまだまだカップ麺とインスタント麺があることを思い出す。家にないはずのそばを二つだけ買った。
 飲料コーナーでは店員が品出しをしていて、まるでここにいてはいけないような、そんな場違いな気分に陥る。アルコールのコーナーは一人しかいなく、まだ落ち着いて見れた。ビールを1ケース買う。水2リットルと、何故か1.5リットルのコーラを買った。158円は安いと思ったからだろうか。
 つまみになりそうな柿の種を買い、清算を済ます。店員は早朝からビールを買う人間に何か思うのだろうかだなんて考えていたら、不意打ちのように箸をいるか聞かれた。思わず頷いてしまった。
 帰り際、警備員につっかかる男性を見た。なに、とか、なんなの、とか、をずっと言って睨みつけていた。何をそんなに疑問に思っているのだろうか。女性を連れ立っていたが、その女性が恥ずかしいとは思わないのだろうか。ただ、そんな男性と一緒にいる女性も馬鹿だと思った。
 駐輪所に行く途中にローソンを見ると店員が掃き掃除をしていた。4人組はもういなかった。
 帰宅途中、ウイスキーを買うことにする。最近気付いたのだが、ウイスキーウイスキーでも、バーボンが好みだったらしい。そして、イオンでは酒コーナーが開いていないので、近所のマルエツに行こうと決めた。どうせならコンビニにも行って割り材のジンジャエールを買うことにしよう。ただ、一度家に戻って荷物を置いておくことにする。
 アパートの入口には猫が堂々と寝転がっていた。通ると怪訝な表情で睨みつけられてしまった。自転車を置き、家の鍵を取り出しながら猫を見ていると、うっとおしそうに起き上がり、視界から消えていった。