たとえもの

アニメとかラジオとか好きでした。今はふつうです

この第一話がすごい!

 アクティヴレイドが素晴らしいという話をします。僕がこれを面白く感じる要因は一つだけではなく様々あり、それを逐一説明したいところなのですが、長々と語っても人に伝わらないということを学びつつあります。情報は質よりも量です。なので最初に簡単にまとめて、後に詳しく載せるという形を取りたいと思います。興味を持った方が長々とした文章を読んでもらえればということで要因をつらつらとあげます。


 スタッフ(谷口悟朗中川幸太郎など)
 キャスト(石上静香島崎信長倉田雅世など)
 一話の出来の良さ(テンポの良さ、キャラなど)


 こういった面が抜きんでていると思います。いや、なんていうか一話の出来の良さ以外に逆になにが要因になるんだよって話ではあるんですけど。前者二つは放映前からの情報で面白いと期待しており、放映後それを確信したという話なのです。

 



 面白い作品を見るために必要なのは、スタッフやキャストなどの作り手側の知識以外にはありません。そこをおろそかにしてはいけません。人の評価はあくまでも人の評価。自分にとって面白い作品と会うためには、自分が面白いと思った物の作り手についていくのが一番の近道です。人の評価とズレがちな人は、口コミなどの意見よりもよほどそれを信じるべきです。なので割とその傾向がある僕は、スタッフキャストの時点で、このアニメは間違いなく僕が見て楽しむ作品だろうと意識していました。

スタッフ



 総監督が谷口悟朗で音楽が中川幸太郎という布陣。この時点でスクライドコードギアスガンソードなどの僕が好きだった作品のスタッフです。制作スタジオは変わっていますが、一番大事な監督が谷口であること、それがとても大事です。かつ、僕がアニメのサントラで購入したことのある唯一のものがガンソードコードギアスであり、その作品を手がけた中川幸太郎と組むという時点で期待しないわけにはいきません。一番好きな監督と音楽のタッグ、これで盛り上がらないわけにはいかないわけです。

 ではその他のスタッフはどうなんだということなのですが、キャラデザ原案が佐伯俊ということで、食戟のソーマの人です。僕自身もかなり好きな絵ではありますし、アニメ用のキャラデザには西田亜沙子が起用。もうこれ、間違いないですよ。西田亜沙子ラブライブであんだけぶいぶい言わせてたのですから、こりゃもうラブライブ好きな人も見ないわけにはいかないですよね。じゃあ他に大事な脚本はどうだといったところなのですが、荒川稔久。最初、誰なのかわからなかったのですが調べてみれば明白に特撮物の脚本家として著名な方だということを知ります。作風に持ってこいの脚本家ではありませんか。このスタッフ陣で面白くないものが出来上がるということって、逆に難しいのではと思う程度には期待します。

キャスト



 そして大事なキャスト陣。石上静香がいるだけで僕はもう絶賛せざるを得ません。いや本当に。あと五年は間違いなく、声優と言ったら石上静香と答えるでしょう。今世間的にも脂ののった若手女性声優で、役幅も幼い児童、自由な男の子、あざとい女子、強気女子、変態女子などと幅広い。なにより、本人の隠しきれない性格の良さの話をしたいのですがそれをいうとマジ気持ち悪いことを書き連ねることになるので割愛。とにかく、演技の幅の広さがあり、この作品では割と高めの声を使った嫌みのない出来る女性を演じています。いいですね、僕もこんな女性に管理されたいしずっちに星宮さんに管理されたい。

 じゃあ他のキャストはどうなんだよ、という話になるわけです。島崎信長といえば最近ではなんとかという課金ゲームで胸触って喜んでいたらしいですが、本当に演技が上手い。最近の若手男性声優は本当に上手いと思うのですが、その中でも代表の一角として数えられるのではないかという立ち位置にいます。そしてその相棒を務めるのが、櫻井孝宏というベテラン。これも間違いのない組み合わせで、いうなればバッテリーみたいなものですよねダイヤのA的に言えば。そして女性側では物語の導入として主人公の如く振る舞う小澤亜李。去年主演として活躍しまくったので、知らない方がおかしいとまで言われる声優ですが、このアニメではまたそのどのアニメでも聞けなかったようなキャラで、飽きただなんて言葉を言わせない演技をしてくれます。他にも大川透、大西沙織、鳥海浩輔などの中に、倉田雅世の声。倉田雅世ですよ倉田雅世、谷口作品といったらもう倉田雅世みたいなもんですよ。よく考えてみてください、谷口悟朗がいなかったら誰が倉田雅世を出すんですか、はっきりいっていま倉田雅世を出そうだなんて決断できる人、谷口悟朗以外にいるかっていう話です。

 いや、別に倉田雅世以外に適役いるじゃん、みたいなことを言われれば、まあ確かにそうかもしれません。だけど、じゃあ倉田雅世の声を聞けるのはどこになるの、という話です。もし仮に、これが別の人でも作品としては問題ないかもしれない。だけど、僕が期待しているのは谷口悟朗作品なのです。そこを間違いなく強固にしてくれるのは倉田雅世のこの起用以外他ならないのです。ああそうです、保志が主人公になるよりも、白鳥哲が悪役になるよりも、この作品においてもっとも違和感のない谷口悟朗作品として足らしめるベストキャスティング倉田雅世声のちっちゃい系上司以外ないのですよ。

一話の出来の良さ



 と、熱く語ったところで、何より大事なことを言います。僕が一番好きな監督作品に一番好きな声優が出るということが初めてなのです。昔から一番好きな監督は谷口悟朗なのですが、それまで好きな声優が出ると言うことはまるでなかったのです。それが初めて叶ったのです。そんな作品に期待をせずにいられますか。あなたにはそんな経験がありますか。これはもう夢みたいなもんです。音楽担当好きな人、脚本も作風に合わせてベストと思われる人をあてがい、キャラデザも人気絶頂の人を起用。これ以上なにかを望むこと自体が罪なんじゃないかと思うくらいです。

 とまあ、そんなくらいには期待していた作品の第一話です。この第一話、大事です。そこまでの事前のハードルを用意をしてしまったのです。僕の中ではもうこれ以上ない高いハードルを用意したつもりです。これよりもハードル高くなることはありえません。それを余裕で高跳びで軽々と超えるがごときの第一話の出来ですよ。なにがいいって? そりゃ作品の第一話としての魅力全てですよ。これ以上のない、必要最低限の台詞と、テンポの良さと、一話としてのまとまりと、これから先に期待させる導入と、キャラクタの立ち位置と、組織の成り立ちと、もろもろの説明を一話でしてかつ映像としての面白さも忘れずにいる。こんなにも完成度の高い一話を創るのは、とても難しいことだと思います。なにより、一つ一つは出来ていたとしても、そのすべてを網羅しているということがテクニカルだと思うのです。緻密な計算があってこそです。

 例えば、大西沙織演じる天野円がいいでしょう。言葉を発さず、画面上で挨拶をするシーン。これだけでもうこのキャラがああこういうキャラなんだってわかりますよね。これくらいわかりやすいキャラの紹介が、ほぼ全てのキャラにある。小澤亜李演じる花咲里あさみの冒頭の台詞の妙に発音のいいアーユーシリアス?もそうです。まず、第一印象がキャラの個性に溢れていて、名前を覚えなくても顔と性格が一致する起点を作っているのです。それも、数秒の間に視聴者に伝えるような形で。この数秒と言うのが大切で、オリジナル作品では一話で伝えなければならない情報量がとても多く、設定などの複雑なことも伝えなければならない。それを極力簡略化した形で提供していて、且つ映像面でも全く妥協していないということが素晴らしいのです。

 はっきりいって、これより出来の高い第一話存在するのかよ、と思うくらいのレベルです。すでに分割2クールという情報が出ている中、序盤にこんなにも質の高い一話を提供されることが異常ともいえます。だって、まだまだ先は長いのですから。それなのに、敢えて最初に一話にここまでの全力を注ぎ綺麗に一話だけでも一つのエピソードとしてまとめ上げる。視聴者としてこれ以上ない嬉しさではないでしょうか。これから見続けるとしても、これから見ないにしてもストレスを感じさせない作り方。まず間違いなく、全ての人に必要とされるものだと思います。どうしてもここから始まる期待感を優先させしがちですが、ここで作品をわかったという全能感も第一話には必要です。わからないから見るは、決して褒めているわけではないのですから。潔く、この作品はこうだ、と主張してくれた方がいい。どのターゲットに絞っているか、そういうことを伝えることが第一話には必要なことで、それが簡単に見えない作品は視聴者に優しくないなと思いますよ。全話見た時の作品としていくら面白かろうが第一話だけ見たときに面白くないと思うのは別物ですからね。そういう意味では、僕が見た中でもっとも質の高い第一話でした。是非これからも応援していきたいものです。



 余談として、同じく作曲家の中川幸太郎が担当した落第騎士の英雄譚も一話の出来凄くよかったですね。あれも間違いなくスクライドを意識した作品でしたし、面白かったアニメだったと確信しております。谷口悟朗作品をリスペクトした作品が今後も世に出ることを願ってやまないです。当時あれらの作品に影響を受けた人の作品が出るのはこれからなので、僕にとっては昔のアニメよりもこれからのアニメの方が断然楽しみです。未来は明るい。